株式会社多聞

FALCO

FALCOはサンプルを俯瞰して撮影し、厚さの面分布を出力する光学式測定システムです。

例えばΦ300のサンプルを1x1mmメッシュでポイント測定する場合、1点を0.1秒弱で測定して1時間以上かかりますが、 FALCOは同じサイズのSOIウェーハの厚さ面分布を撮影開始から60秒程度で出力します(計算の所要時間はサンプルによって変わります)。 サンプルの撮影後、計算中にロボットがフープにウェーハを戻して次のウェーハを撮影準備することで、60秒/サンプルのタクトを実現します。 9点測定など少ない測定で足りる場合は従来型のポイント測定で十分ですが、 1.0x1.0mmや5.0x5.0mmメッシュのような厚さの面分布を求める場合はFALCOが最適解の1つになります。

特長

FALCOはサンプルの厚さの面分布を出力する測定装置です。 サンプルを搬送しながら厚さをラインスキャンし、搬送することでそれを面に拡張しています。 FALCOのもう1つの特長は非接触・非破壊であることです。 非接触な測定手法は何種類かあり、弊社で納品実績がある製品でも、白色光使用、レーザ使用、音波使用があります。 FALCOはこのうち白色光を使用して厚さ測定を行います。 可視光はエネルギーや発熱の少ない光ということもあり、非接触・非破壊測定の中でも特にサンプルへの影響が小さいです。 白色光での厚さ測定は薄いサンプルに向いています。 FALCOでは10nm~10um(Si換算。ほとんどの樹脂やガラスなどでは数字を約2倍に読み替えます)の範囲で 厚さの面分布を測定できます。 スキャンが1軸のみのため、面全体をポイント測定でスキャンする場合に比べて圧倒的に短時間でスキャンが終わります。

現在、FALCOは主にΦ300mmのSiウェーハ上に構築した層の測定に使用されています。 SOIの活性層とボックス層の同時決定、および、撮像素子のような比較的均質なパターンの品質管理の納品実績があります。 測定の速さとフープ単位での処理のため、主としてエンドユーザ様の製品の全数検査に使用されています。

以上のように、FALCOは原理的にも実績的にも、Siウェーハやガラスのような基板上の10nm~10um程度の厚さの層の面分布をバッチ測定するのに適しています。 一方、基板自体の管理には不向きと言う弱点もあります。また、光学測定の宿命で、表裏両面が鏡面ではない層の厚さは測定できません。

俯瞰するためにワーキングディスタンスが長めで、フープローダや搬送ロボットなどと組み合わせるため、典型的な納品姿としては2 x 2 x 2.5m程度になります。 生産工程に組み込む場合は、生産機に組み付けるというよりは、ラインの途中、もしくは出荷直前に検査する用途で使われます。

FALCOは基本システムをベースとして案件ごとにカスタマイズを行って納品しています。 現在までの実績では光源のチャンネル数のような軽カスタマイズが主体ですが、対象サンプルの形状や空間分解能の変更、解析項目の追加なども想定しています。 基本システムの想定サンプルはΦ300の円形で光学分解能は約0.3x1.2mmです。 これを1.0x1.0mmメッシュに変換して出力します。

カスタマイズ例としては、サンプルサイズや出力メッシュの分解能の変更、傷の検出(空間分解能の制約で、細かい傷は判別できません)追加などが想定されています。 また、例えば、感光基板に対して紫外~青光をフィルタで落としたり、短波長の出ない特注光源を使用するというようなカスタマイズも考えられます。